金継ぎの精神と、抹茶

金継ぎの精神と、抹茶

欠けやひびを美しさに変える金継ぎの精神

壊れた器をただ直すのではなく、その「傷」を美しさとして受け入れる――それが金継ぎの考え方。割れた部分を漆で繕い、そこに金や銀を施すことで、器はかつての姿とは違った新たな表情を見せてくれます。
ひびや欠けは、単なる「傷」「欠損」ではなく、その器が歩んできた時間や物語を映し出すものと捉え、それを隠すのではなく、あえて輝かせるのです。


金継ぎ風の抹茶碗が生み出す趣

この「金継ぎ」の美しさに着想を得て生まれたのが、当ショップで扱う「柚子天目金継風」と「白天目金継風」の抹茶碗です。
実際に金継ぎを施しているわけではありませんが、器の表面に繊細な金彩が施され、ひび割れを思わせる模様が浮かび上がります。まるで時を経た器が新たな命を吹き込まれたかのような風合い。抹茶を点てると、鮮やかな緑と金彩が美しく響き合い、静かで心落ち着く時間を演出します。


抹茶を味わう、静かなひととき

抹茶をたてる所作は、決して完璧である必要はありません。金継ぎのように、欠けがあってもよいのです。ご自身がこうと思うやり方でいいのです。
泡の立ち方が少し不揃いでも、湯の温度が少し違っていても、それが「今この瞬間」の味わいになる。器に施された金継風の模様を指でそっとなぞりながら、抹茶の香りとともに静かなひとときを楽しむ――その時間こそが、抹茶の醍醐味なのかもしれません。


器とともに深まる味わい

この金継風抹茶碗は、使い込むほどに愛着が湧き、日々の茶の時間に優雅な趣を添えてくれます。「欠けやひびも美しさの一部になる」という金継ぎの哲学を感じながら、抹茶の深い味わいに浸るひととき。


抹茶と金継ぎの美意識を感じる時間

壊れたものを美しく再生させる金継ぎの精神と、自然の恵みをまるごと味わう抹茶。そのふたつが織りなす時間は、まるで心に静かな波紋を広げるような豊かさをもたらします。欠けやひびがあるからこそ美しい――そんな金継ぎの美意識を感じながら、一杯の抹茶をゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。

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